高齢者にとって安心できる庭とは

高齢者にとって安心できる庭とは
お年寄りや障害者が安心して暮らせる家として、段差を解消して安全に移動できるように配慮された「バリアフリー住宅」が定着してきました。しかし、庭のバリアフリーまでは、あまり考えられていないかもしれません。そこで今回は、高齢者にやさしい庭について考えてみます。

高齢者にも人気のガーデニングで認知症ケア

ガーデニングは、年齢を問わず人気を集めています。庭に家庭菜園を作ったり花を植えたりする作業は適度な運動となり、植物の成長を日々観察しながら世話をすることは認知症の予防にもつながるそうです。また、高齢者のデイサービスでは、リハビリメニューにガーデニングが採用されています。このような、ガーデニングを通して心身の状態を改善しようという試みは、「園芸療法」といわれています。
園芸療法には、ガーデニング作業による筋力低下の防止や、草花を眺めたりにおいをかいだりすることによる視覚・嗅覚の活性化といった効果があります。また、植物の手入れを通じて、同じ趣味を持つ仲間と交流できるというメリットもあるのです。
しかし、足腰が弱っている高齢者は、ガーデニング作業そのものがおっくうになる可能性があります。そこで、できるだけ負担を軽くするために、庭に休憩用のベンチを設ける、花壇の高さを見直し車椅子に乗ったままで作業ができるようにする、効率よく花壇を回れるレイアウトにするといった、工夫をするといいでしょう。

高齢者の自宅での転倒場所第1位は庭

趣味としてはもちろん、運動効果や認知症の予防効果が期待できるガーデニングですが、作業中の転倒には注意が必要です。
実は、自宅における60歳以上の高齢者の転倒事故は、庭で最も多く発生しているといわれ、ある調査では約4割近くにも上るともいう結果が出ています。高齢者自身の体力や注意力の低下により、つまずいてしまうケースが多いと思われますが、地面のコンディション不良や大きな段差、障害物、照明の不足といった環境要因も見過ごせません。

歳を重ねても安心な庭づくりが重要

健康的に楽しめるガーデニングは、歳を重ねても続けていきたいものです。そのためには、庭での転倒事故を防ぐ環境づくりが重要です。通路幅を広くとり、必要な場所にはすべて手すりやスロープを設けるなど、庭にもバリアフリーの考え方を取り入れると安心です。しかし、ちょっとした段差の上り下りは筋力の維持につながることが知られています。主要な動線はバリアフリー化を進めつつ、危険の少ない範囲で庭本来の姿を活かすのが理想的です。

老後を見据えた庭づくりをしよう

普段あまり意識することがないかもしれませんが、老いはいずれ必ず訪れまず。庭を老後のことまで考えた設計にすることは、将来の健康的な生活のためにも必要です。高齢の親との同居や自分自身の老後を見据えた庭づくりを考えてみましょう。

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