

エントランスは住まいにひとつだけと思っていませんか?
最近、エントランスの前にもうひとつ別のエントランスを設置する動きが出てきています。一体どんなメリットがあるのでしょう。従来の玄関がひとつで担っていた役割をもうひとつの玄関に振り分けることにより、機能分けされた新しい空間が家屋に出現します。空間が増えることで、機能的にも、気分的にも、より大きな広がりを体感できます。
風、光を上手に活かす伝統的日本建築の人気の高まり
大きく変化していく建築様式の中で、ずっと続いている日本独自の様式もあります。日本人ならば、外から帰って来て畳の間に寝転んだり、寒い日に首まで浴槽に浸って暖まったりする「日常にひそむ幸せ」を、楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。花鳥風月をめでる日本式情緒。そうした日本家屋のかもし出す「穏やかで落ち着きのある空間」を、うらやましがる外国の方もたくさんいます。
ヨーロッパなどに比べて高温多湿でさらに偏狭な日本家屋の環境は、おのずから「通風」と「採光」を工夫し、狭い空間を広く使えるように考えられてきました。たとえば障子などは、閉めれば空間を遮断できると同時に光は遮断せず、室内は明るいままです。また、開け放てば空気が通って通気性がよくなります。
土間、門を新しい形にアレンジ
日本では、家の中は靴を脱ぐところよりも一段高くなっています。これにより、自分だけの落ち着ける空間が形成されるのです。こうしたダブルエントランスのつけ方は、以外に簡単。住宅はそのままで、玄関前に設置する「独立タイプ」や、ポーチなどに付設する「壁付けタイプ」などがあります。いずれも豊富なデザインで、鉄格子や木の素材をはじめ、高級感のあるガラスなど、玄関をより美しく改革します。エントランスが2つになると、土間も増えることになり、奥の玄関と土間をスッキリさせることでより安全で使いやすい空間へと変貌します。
第二の門のメリット
第二の門を設置すると、玄関と門のあいだにスペースができるため、濡れた傘やレインコートや上着などを脱いだり作業スペースとなります。もう1つの仕切りがあることで目隠しとなり、郵便物を取りに行く、訪問者の対応をするなどの普段の活動も今までより負担なく行なう事ができます。さらに、「壁付けタイプ」なら、ベビーカーやガーデニング用品、アウトドアグッズなどをしまう、収納スペースの確保が可能です。また、門を閉めた状態にすることで玄関を開けておくことができ、風の通り道の確保につながったり、子どもの飛び出し防止など安全性や防犯性の向上にもつながります。ダブルエントランスは空間を仕切ることで玄関のもつ役割を分割し、安全や利便性をさらに高めることになるのです。
より快適な空間の創設
欧米で最も重視される「ファサード」とは、家の正面を意味します。日本家屋で言えば「玄関」に相当する部分、まさに「家の顔」です。「玄関文化の本場」日本では、伝統の良さを生かした新しい潮流が見られ、それが「ダブルエントランス」です。玄関の前に入口をもう1つ設置するということは、自然の風や光を生活に活用する従来の日本様式の特徴を取り込みながら、新しい機能と方向性を以ってカスタマイズしていくことができるのです。