

昔から日本の住まいには、ウチとソトを隔てる境界線をあいまいにしておくという考え方が根付いていました。縁側や土間といった、外でも室内でもない中間的な空間は、人々の暮らしの中で隣近所など人とのつながりを密接にする働きをします。そんな日本人の住まいに対する考え方を受け継ぎ、現代化させたのが「リビングテラス」です。リビングから庭へと自然につながるくつろぎの空間作りが、今注目されています。リビングテラスの魅力についてご紹介しましょう。
リビングテラスとは
リビングテラスとは、リビングから庭へ連続してつながっていく空間のことです。以前はガーデンルームやサンルームと呼ばれていました。これをさらに進化させ、屋外の解放感と室内の快適さを併せ持ち、多目的スペースとしての機能も持たせたて誕生したのがリビングテラスです。室内にいながら、光や風の変化を感じられる、半戸外のような居心地のいい空間が生まれたのです。
リビングテラスの魅力
リビングテラスの魅力は、ソトのようなウチが味わえることや、開放感のある広い空間の心地よさを感じられることです。リビングの延長線上にあるくつろぎの空間としてだけでなく、土間のように戸外で使うものを収納するスペースとしても使えます。
また、フロアタイルを配置してカフェのようにゆっくりお茶を楽しんだり、パーティースペースとして活用したり、お客様をもてなす場所として使用するのもおすすめです。
リビングテラスを作るときのポイント
リビングテラスを作るときの素材は、ウッドデッキやタイル張りなどがおすすめです。テラス部分は、リビングからの連続性を持たせるために、床の高さを揃えることが大切です。リビング部分とテラス部分に大きな段差があると、つながりが途切れてしまい、広がりのある大きな空間として感じにくくなってしまいます。また、床をバリアフリーにし、サッシなどの溝もできるだけフラットになるようなデザインを選べば、出入りにも便利で、掃除もしやすくなるという利点があります。
リビングとテラス部分をつなぐ窓は、庭の景色を取りこめるような、全開口の掃き出し窓がおすすめです。天気のいい日に窓を開放すれば、視界を遮ることなく庭の景色が見え、広く開放的な空間になります。
窓から見える景色にも注目
カーテンを使わず外を直接眺められる空間は、広々として気持ちがいいものです。植物をうまく植えることで、カーテンがなくてもプライバシーを確保できるリビングを作れます。また、プライバシーを確保しながらも、圧迫感をなくすため、大きな木は、窓の正面ではなく少し脇にずらして植え、背の低い小さな木々は少し奥の方に植えるようにしましょう。こうすることで遠近法によって、より広がりのある空間に感じられます。またテラス部分には、リビングからの視線に合わせるように、植物やガーデングッズを配置しましょう。夜にライトアップできるようなフロアランプを置いて星空を見るのも素敵な演出です。
一体感のあるリビングスペースを演出するために
リビングとテラス部分は、どちらにも同じ素材を使うことで、さらに一体感のある空間を演出することができます。人工樹脂を使ったウッドデッキ、風雨、日焼けによる劣化の少ないタイルなどを使えば、ごみもたまりにくく、リフォームも簡単です。
日本の住宅事情を考えると、大きなリビングや庭を持つのはなかなか大変なことです。リビングテラスは、住まいの中にときには室内として、ときには外として使用できる、広くて開放的な空間を作り出します。リビングテラスを上手に利用して、昔の日本住宅のように人と自然に寄り添った暮らしを実現してみませんか?