

ヨーロッパでは、築数百年という古い家も存在するレンガ造りの建物。自然の“土”を高温で焼成したレンガは、独特の質感や焼きムラによる自然な風合いが魅力の建材です。レンガの経年劣化による味わいの魅力や、ひび割れや汚れの原因と対策についてご紹介します。
歴史を感じさせるレンガの風合い
長期にわたってメンテナンスがいらないといわれるレンガですが、何十年、何百年と経つと角が欠けたり、色があせてきたりします。それも経年劣化による年月を経てこそ出せる「レンガ造りの魅力」といえます。
耐久性と快適性が高いレンガ
復元工事を終えた東京駅をはじめ、北海道庁旧本庁舎、富岡製糸場、昔の銀行建築など、明治・大正期に建築された重要な施設の多くはレンガ造りでした。
レンガ造りの建物のよいところは、耐火性・耐水性・耐震性・腐食に強いなど、「耐久性」に優れているところです。また、土を焼成した「焼き物」であることから、断熱性・防音性・通気性などがよく、夏は涼しく冬は暖かいなど「快適性」にも優れています。
レンガ造りのメンテナンス
メンテナンスがあまりいらないといわれるレンガですが、それでも汚れやひびなどに対するメンテナンスは必要です。メンテナンスが必要な場合の事例をいくつか紹介します。
泥やホコリ、カビなどの汚れのメンテナンス
徐々に黒ずんでいく経年劣化は、“風合い”として感じ取ることができますが、泥やホコリ、カビ、コケなどの「短期間で付着した汚れ」は見た目を損なってしまいます。このような場合は、やはりメンテナンスが必要です。レンガとレンガをつなぐモルタルの目地部分は、特に汚れが目立ちやすい箇所です。
<泥、ホコリ、カビ、コケが付いた場合のメンテナンス方法>
- 水をかけながらデッキブラシなどでこすり落とします。
- 水で落ちない汚れは、アルカリ性の重曹と酸性のクエン酸を使います。重曹をデッキブラシにつけて軽くこすり、水で溶かしたクエン酸をスプレーしこすります。仕上げに水で洗い流します。
- 家庭用高圧洗浄機を使用します。
レンガの目地のひび割れ
レンガをつなぐモルタルの目地は、気温の変化や雨風、振動によって「ひび割れ(クラック)」を生じることがあります。
<用意するもの>
- モルタル。手軽なチューブ式「コンクリートひび割れ補修剤」でもよいです。
- ヘラ
- マスキングテープ
<目地のひび割れのメンテナンス方法>
- 1. ブラシなどで目地の汚れを落とします。
- 2. 目地以外の部分には、マスキングテープを貼ります。
- 3. ひび割れ部分に「モルタル」を埋め込みます。
- 4. ヘラでモルタルを平滑にします。
- 5. モルタルが乾燥する前にマスキングテープを剥がします。
ひび割れでぐらついたレンガの補修
ひび割れが大きく、レンガがぐらつく場合は、レンガを貼り直します。土台部分や柱、補修すべきレンガの数が多い場合は、安全面を考慮して専門業者に相談した方が良いでしょう。
<用意するもの>
- モルタル
- タガネ
- ヘラ
<レンガのひび割れのメンテナンス方法>
- 1. レンガの周囲のモルタルをタガネで削り取ります。
- 2. レンガを外します。
- 3. レンガにモルタルをつけてはめ込み、ヘラで形を整えます。
定期的なメンテナンスで、さらに愛着がわくレンガ造り
年月を経れば経るほど、レトロな雰囲気を漂わすレンガ造り。目地の汚れやひび割れ(クラック)の定期的なメンテナンスによって、古いながらも美しく長く使い続けることができるはずです。