

春から夏にかけて植物は成長期を迎えますが、その一方で害虫の繁殖も活発になってきます。害虫は植物を虫食い状態にしてしまうだけでなく、樹木の成長を妨げてしまいます。ひどい場合には枯らしてしまうことも……。大切な庭木を守るためにも、害虫を寄せ付けず、早期に発見して適切な対処をすることができる環境作りをしておきましょう。そこで、庭木の害虫予防と対処法についてご紹介します。
生育環境を整えよう
まずは害虫が発生しにくい環境作りからはじめましょう。しっかり日光を当て、風通しをよくすることが大切です。暗くてジメジメした環境では、樹木自体の元気もなくなり、病害虫が発生しやすい状態になってしまいます。不要な枝葉を切り落とし、枯れ枝や枯葉を除去するだけで、日当たりと風通しを十分に確保できます。
植物の病気と害虫には相関関係があります。病気になって弱った樹木には害虫がつきやすく、害虫がつけば病気になりやすくなりますので、どちらにも注意を払っておきましょう。
被害を抑えるには早期発見が大切!!
害虫を早期に発見し適切に対処することで、被害が大きくなるのを防ぐことができます。早期に発見するためには、庭木を日々観察し、様子がおかしい、元気がない、といったサインを見逃さないことが大切です。
早い段階で発見できれば、ピンセットで取り除いたり、歯ブラシでこすったりして除去することができますが、被害が進行してしまったり、大量発生してしまった場合は、それぞれの害虫にあった薬剤を散布するのが効果的です。
主な害虫の対処法
ここで、庭木につきやすい害虫の特徴と対処法についてご紹介しましょう。
ハダニ類
ハダニは葉の裏側に寄生して汁を吸う害虫です。ハダニが付くと葉に白い斑点ができ、それが徐々に広がっていきます。症状がひどくなると葉を落とすこともあります。高温多湿を好むため、梅雨時期から9月ぐらいに被害が多発します。
ハダニの被害を見つけたら、定期的に葉裏に水をかけて洗い落とせば、数を減らすことができます。被害の進行が早い場合には、専用の薬の散布が効果的です。
アブラムシ
草花や観葉植物だけでなく樹木や果樹など、多くの植物に寄生するアブラムシ。特に新芽や花などのやわらかい部分に群生します。大量に発生すると、その部分がベタベタし、カビが生えて煤(すす)病になったり、他の病気の原因となるウィルスを媒介したりするので、注意が必要な害虫です。繁殖力が非常に強いため、専用の薬剤の中でも、長時間効果の続くタイプがおすすめです。アブラムシの天敵となるテントウムシやカゲロウを放つことでも、一定の効果が得られます。
チャドクガ
椿やサザンカ、お茶の木などに繁殖するチャドクガも、被害の大きい害虫のひとつです。葉を全部食べつくしてしまう上、毒を持つ細かい毛に触れると、皮膚が赤くかぶれてしまうことでも知られています。チャドクガは発見次第、すぐに枝ごと切り落とすか、薬剤を散布する必要があります。このとき、風で飛ばされた毒毛や死骸に触っただけで湿疹がでる場合がありますので、肌の露出を避けて駆除を行うようにしましょう。
適切な対処で庭木を守ろう
どれだけ栽培環境を良くしても、植物に害虫はつきものです。使用する薬の説明事項をよく読み、専門家のアドバイスを受けるなどして、適切な対処を行い、害虫被害を最小限に抑えるよう心掛けましょう。