

「あともう少し庭が広かったら」と残念な気持ちになることはありませんか。庭が狭いから、といってあきらめることはありません日本庭園でよく用いられている、限られた空間の中で「視覚的に庭を大きく見せる手法」をうまく取り入れれば、理想的な庭作りを実現することも可能です。今回は、自宅でも取り入れられる、日本庭園に倣った庭を大きく見せるテクニックをご紹介します。
遠近法など目の錯覚を利用する
遠近法は、狭いスペースに奥行きを持たせ、広く見せることができるため、昔から用いられてきました。手前に大きいものを、遠くに小さいものを配置することによって、広さと奥行きを演出する手法です。お庭に取り入れる場合は、ガーデンファニチャーや植栽、花壇など、手前に大きなものを、奥に行くにしたがって小さなものを、と配置にメリハリをつけることで、遠近感を生み出すことができます。このとき、高さと広がりが7 : 5 : 3の二等辺三角形になるように意識すると、バランスのよい配置になります。
近景と遠景を作ろう
近景と遠景も庭を広く見せるための代表的な手法です。近景遠景を利用した基本的な庭の作り方は、庭を最もよく見る位置、またはここから見せたいという場所を庭の正面とし、近景(庭の手前部分)と遠景(庭の奥の部分)の2つに分けてレイアウトを決めていくというものです。
一例を挙げると、近景となる庭の正面に、1本の幹から数本の幹に分かれる「株立ちの木」を配置し、木の幹と幹のすき間から「遠景」を覗かせることで奥行き感を演出することです。代表的な株立ちの木としては、アオハダ、アオダモ、エゴノキなどが挙げられるでしょう。
遠景を作る際に、注意しなければいけないのが塀の位置です。塀の位置次第では、圧迫感が出てしまうためです。塀を庭と道路の境目ギリギリに作るのではなく、ここに植栽などのオープンスペースを作り視覚的な余裕をもたせるようにします。また低めの塀を選べば、開放的な雰囲気をプラスすることができるでしょう。塀の位置を決めたら、次はバランスを考えながら、庭に植栽や芝、ガーデンオーナメントなどを配置していきます。外から目隠ししたい場所には高さのある常緑樹を植えましょう。
導線や視線など「線」に動きを作る
庭を広く見せるもうひとつのテクニックとして、導線や視線の「線」をできるだけ長くとるという方法があります。たとえば、玄関までのアプローチ。直線ではなく曲線にすればより多く「長さ」を確保することができます。長さを確保することで、歩く距離が長くなり、視覚的な効果との相乗でより広く感じさせることができるというわけです。ウッドデッキなども同様に、アーチ状の形や斜めに設置すれば「線」の長さを確保できるため、お庭が広く見えるという効果があります。
視覚効果を使って小さな庭を大きく
小さな庭は、「視覚を利用すること」で広く見せることができます。特に日本庭園で使われているテクニックの数々には不満のあった小さな庭を理想的な空間に生まれ変わらせることができるヒントがいっぱい。なんだかわくわくしてきますよね。今度の週末には、庭の図面を作って、視覚や導線をいろいろ考えながら、植栽やガーデンファニチャーのレイアウトを考えてみませんか?